この研究室では、ヒトの健康に影響する微生物について研究しています。とくに腸内細菌の研究に力を入れています。腸内細菌は良くも悪くも健康に様々な影響を与えます。食べ物や生活習慣によって腸内細菌叢が変化し、それによって健康面にも影響が出ることがわかってきています。どの様な食品成分が腸内細菌にどの様に影響するのかを研究しています。また、腐敗・変敗微生物や食中毒菌はヒトに有害に働きます。これら悪い菌を制御する方法についても研究しています。
大腸には多くの細菌が棲んでいます。この腸内細菌によって作られた代謝物質や腸内細菌自体がヒトの健康に大きく影響することが分かってきています。消化吸収されなかった食品成分は腸内細菌のエサとなりますが、大腸に届く食品成分により発育する腸内細菌の種類が変わってきます。オリゴ糖や水溶性食物繊維のように良い腸内細菌を育てる食品成分、逆に悪い腸内細菌にしてしまう食品成分について研究します。
腸内細菌は宿主の栄養生理機能、免疫機能と密接に関係しているといわれています。そこで、腸内細菌の生態、基質利用性、代謝産物等の解析などの基礎研究をおこなっています。その研究成果をもとに、様々な食品や食品素材により腸内細菌叢を制御することで宿主の健康維持に役立てる研究や、さらに、プロバイオティクスやプレバイオティクスなどの機能性食品の開発に役立てる研究をおこなっています。
また、食中毒菌に関する研究もおこなっています。食用天然物による食中毒菌の発育抑制効果や、食品からの食中毒菌検出法の改良などの研究をしています。私達の研究室では、研究手法として、培養法だけでなく分子生物学的手法を取り入れています。
現在では分子生物学領域での研究手法の発展がめざましく、その基礎的な知識と技術が身に付くよう、学生に指導しています。
これまでに多くの学生が当教室から巣立っています。当教室では、卒業論文の研究を行いながら、微生物の取り扱いや検査方法の基礎的技術も学べます。その技術と知識を取得し、将来食品衛生監視員になりたい、検査機関や食品企業の品質管理部門で働きたいといった希望を持った学生が多くいます。実際に、食品衛生監視員、財団の検査機関、民間の検査会社に就職する学生がいます。卒業生の多くは食品企業に就職しており、品質管理部門はもちろんのこと、他にも様々な現場で活躍しています。
活躍している卒業生を紹介します。高校生や在学生に向けたコメントもありますので、ご覧ください。(※クリックすると拡大します)
機能性物質を産生する細菌分離用の新しい培地の作成を目的に研究しています。
この培地では特定の指示薬を用いることで、機能性物質を産生する微生物を効率よく検出することができるようになります。とくに腸内細菌の機能性を研究する上では、とても有用な培地になります。
本研究室では、「安全性」と「機能性」の両面を支える高度な専門知識を学ぶことができ、分からないことがあっても先生がアドバイスをしてくださるため、安心して研究に取り組むことができます。
3年生はまず実験の基礎的技術を習得した後、各自研究テーマを決め実験を進めていきます。まだ研究テーマを決めていませんが、日々の授業や実験を通して興味のある分野を広げながら、自分に合ったテーマを見つけたいと考えています。
食品衛生学研究室では基礎から指導してくださります。初めは不安もありましたが、少しずつ自信を持って実験ができるようになってきました。失敗を通じて多くのことを学べていると感じます。